また、治療の目標は「生活の質(QOL:quality of life)」を高めることと、「寿命を延ばすこと」に集約されます。
延命が困難なときには、QOLが最大の関心事となり、延命が可能なら、QOLの低下をある範囲で我慢することもあります。
がんの診療を例にとした場合、死期の迫る末期がんに対して、辛い症状を緩和し、少しでも安楽な生活を考えることが前者に当たり、進行がんに対して根治の可能性があるなら、術後のQOLをある程度犠牲にしても大きな手術を行う場合が後者に当たります。
治療目標の根本に、生活の質の改善と寿命の延長を置いておくにしても、実際の診療場面では、診断された疾患をどう取り扱うか、疾患に対する治療目標をどこに置くか、それが当面の課題となります。医師が手出しをしなくても自然に短期間によくなる病態もしばしばです。
尚、治療を受けて頂くにあたり、治療目標に関する共通認識が必要であると思いますので、以下にご案内致します。
医学を学び、医療現場で経験を積んだ医師の知識・技術・経験・判断力による専門的パフォーマンスが、健康上の問題を解決に導く一方、患者様の抱く不安や疑問に応えるためには、優しさや思いやりを込めたサービス精神が必要であると思います。
診療の質は、いくら専門的パフォーマンスが優れていても、サービス精神を欠いていれば、診療本来の姿とは異なるものになってしまうことでしょう。